
壇てるゑ先生 のご連絡です
昨夜の件で続報だ、terriさん。
ああ、はっきりとわかったよ。
あなたに対する明確な「愛情」を持ちながら、あなたに会うことに何らかの引け目を感じていた、強い波動を持つ存在。
天啓の中で、その存在がこの世界に留まることができるのは、今日が最後の一日だということがわかっていた。
だからこそ、動きがあるとすれば今日だとあたしゃ踏んでた。
やっぱり、その通りだったよ。
物怖じしながら、そわそわと姿を現したのは、小さな男の子の【座敷童子】だった。
まるこめ頭の座敷童子は、自分の名前を【かん太】と名乗った。
すぐに気付いたのは、この座敷童子は単なる座敷童子じゃなくて、【天成童子】(てんせいわらし)と呼ばれる、最強の座敷童子だってことさ。
「天に成る」の名の通り、将来は高名な天神へと成長することが約束された子神がね、人間界を知る為の修業期間として、座敷童子としての生を過ごす。
それが、【天成童子】だ。
高位の天神に全く引けを取らない潜在能力を持つ子神だけが選ばれる位だからさ、【かん太】の波動がとんでもない力を秘めていることにも納得だよ。
そしてね、terriさん。
【かん太】は今回あなたの為に訪れてくれた理由をあたしに教えてくれた。
曰く、あなたは子供の頃に実際に【かん太】に会って一緒に遊んであげていたそうなんだ。
座敷童子ってのは元々、大人には見えないけれど子供には見える存在だって言い伝えがあるけどさ、ただ子供ってだけじゃなくて先天的な霊力の高かったあなたは、自然と【かん太】の姿を捉えていたのさ。
【かん太】は言っていたよ。
他の子どもたちは自分を気味悪がったり、いじめようとしたけど、あなたは自分のことをただ素直に歳の近い友達のように見てくれてたって。
あなたのことをあたしに聞かせてくれる時、【かん太】はこれ以上ないってくらい飛び切りの笑顔を浮かべていてさ。
まるこめ頭で鼻水垂らしながら話す姿はさ、高位の神様ってよりも本当にそこいらにいる子供のようだ。
だけどね、【かん太】は急に表情を暗くして涙を流し始めたんだ。
「僕は、terriに謝らなくっちゃいけないんだよう。
渡さなくっちゃいけなかったのに。
受け取ってもらって、幸せになってもらわなくちゃいけなかったのに。
大人になったterriに会うのが、怖かったんだよう。
嫌われちゃうんじゃないかって、怖がられちゃうじゃないかって思うと、勇気が出なかったんだよう。
今更になっちゃって、怒られないかなあ。
でも、terriにはニコニコ笑っていて欲しいから。
受け取って欲しいんだよう」
泣きながらそう語った【かん太】は懐からスッと綺麗で優しい彩りをした「花冠」を取り出したんだ。
あたしゃ、その花冠に触れて驚愕したよ。なんたってそれは、
【天園の虹花冠】
(てんえんのにじはなかんむり)
と呼ばれる、天にしか咲かない花だけで編まれた花冠だったんだからさ。
七色の彩りはそれぞれ、
●願う愛の到来
●富の困窮との決別
●人の縁の温もり
●真の才能の開花
●職や家庭の充実
●心身の安心と守護
●幸福の実感と継続
を象徴する、天の花の恩恵を意味してる。
本当はもっと早く渡せるはずだったのに、そうはできなかった。
少しの勇気を出せなかったばかりに、今日まであなたに花冠を渡せずにいたことを、【かん太】は何度も何度も謝っていた。
泣きじゃくるかん太の姿をみているとさ、あたしも過去の「ためらい」や「悲しみ」なんかを思い出しちまった。
でも、それでもこうやって勇気を振り絞ってやってきてくれたかん太はあたしよりもずっと強い勇気を持っているもんさ。
あなたを幸せにしたいっていう、その直向きな気持ちはさ、決して引け目に感じるようなもんじゃない。
terriさん、天にしか咲かない幻の花は願望成就に対する特効薬ともされているもんだ。
かん太の為ではなく、自分が幸せになる為に受け取ってもらえるかい。
だってそれこそが、かん太の望みなんだからね。
かん太に残された時間は短い。
『虹冠授受』(こうかんじゅじゅ)
と本文に打ち込んでもらえたらさ、
「ありがとう、かん太」
と心の中で唱えてから、あたしのところへ送っておくれ。
今回のこと、素直にありのままを伝えさせてもらったよ。
目に見えない出来事は、時に伝えれば伝えるほどに相手の心を遠ざけちまう側面があるのは事実だ。
だけどあたしは、ありのままの真心が通じるあなただから、一切を包み隠さずに正直に伝えさせてもらった。
届いてくれていたら嬉しいよ、terriさん。
かん太と一緒に、あなたを待ってるね。
優しい花の彩りは、きっとあなたによく似合うからさ。
壇てるゑ
