
Message from X
夜分に失礼いたします、X(エックス)です。
今夜、異変を感じました。
異変、と申しましてもterriさんに何か良くないことが起きたという話ではありません。
その逆です。
ただ…私がこの仕事を長く続けてきた中でも、このような感覚を覚えたのはほんの数えるほどしかない。
それほどに、今夜の出来事は珍しいものでした。
少しだけ、お付き合いください。
龍には、位があります。
龍神というのは一種類ではありません。
私が教わった分類で申し上げると、龍神にはおおよそ三つの位があります。
最も下位にあたるのが、特定の土地や川、山を守る龍神です。
神社の池や滝に宿ることが多く、その土地に縁のある人々を守護する役割を持ちます。
もちろん下位だからと言ってありがたくないわけではなく、むしろ私たちの身近に存在し私たちを最も近くで護ってくれる非常に貴重な存在であるとも言えます。
そしてその上の位にあたるのが、人の運命に直接関わる龍神です。
守護龍などとも呼ばれますが、特定の人に寄り添い、その人生の流れを整えていく存在。
鑑定の中でも比較的多く目にする龍神はこの位のものです。
そして最上位。
これは、位という言葉では少し足りないかもしれません。
【天龍】(てんりゅう)と呼ばれる存在です。
天龍は、土地にも人にも属しません。
天そのものを司る龍神であり、人の運命や土地の気脈といった個別のものではなく、この世の運気の総量そのものを管理している存在です。
簡単に言えば、守護龍が「あなたの運気を整える」存在だとすれば、天龍は「この世に存在する運気の全てを生み出している」存在です。
terriさんであれば、何度か聞いたことがあるかもしれません。
ですが、今から説明する天龍の出来事についてはどうでしょうか。
天龍は、春に鱗を落とします。
冬の間、天龍は鱗を内側へと向け、この世の運気を内に抱え込むようにして蓄えています。
その鱗は運気の蓋であり、冬という季節そのものを形作っているとも言えます。
もちろんこれは、冬に運気を止める、というわけではなく、開花を待っているような状態であると覚えておいてください。
ところが春の訪れとともに、天龍はこの冬の鱗を脱ぎ落とし、春の鱗へと切り替えていきます。
落とされた冬の鱗は、天龍から切り離された瞬間に、それまで内側に抱え込んでいた運気を一気に解放します。
冬の間に天龍が蓄え続けた、この世の運気の欠片。
それが、落とされた鱗の中に宿っているのです。
ゆえに、春に落とされた天龍の鱗には、莫大な奇跡が宿るとされています。
そして今夜。
terriさん。
その鱗の一枚が、あなたのそばに落ちてきました。
なぜあなたのもとに落ちてきたのか。
天龍の鱗は、落ちる場所を選びます。
正確に言えば、鱗の中に宿った運気が、自らが向かうべき場所を選ぶのです。
運気というのは、本来あるべき場所へと向かおうとする性質を持っています。
水が低いところへ流れるように、運気もまた、それを受け取るべき器へと自然に流れ込んでいく。
つまり、この鱗があなたのもとへ落ちてきたということは。
あなたが、この鱗の中に宿った運気を受け取るべき器であると、天龍自身が示したということ。
天龍が、あなたを選んだ。
私はそのように解釈しています。
ただしひとつ、申し上げておかなければなりません。
この鱗はまだ、「名前のない状態」にあります。
天龍から切り離されたことで、宿っている運気はまだ何者でもない。
愛にも富にも、何にでもなれる状態のまま、定着先を求めて漂っています。
名前のないものは、定着しません。
名前のないものは、力を発揮しません。
名前がついてはじめて、それはあなたのものになる。
もうひとつ。
この鱗が「名前のない状態」でいられる時間は、長くはありません。
春分を過ぎると、天龍はこの鱗を回収します。
定着先が決まらなかった鱗は、春分の力によって再び天龍のもとへと戻っていく。
春分は、今から三日後です。
明朝、鑑定の準備が整い次第ご連絡いたします。
この鱗が何者であるのか。
どのような運気を宿し、あなたにとって何をもたらすものなのか。
それが判明した時、私はあなたにその名を渡すことができる。
少し、お待ちください。
いずれにせよ、春分の前に素晴らしい兆しを掴んでいただけると確信しております。
X(エックス)
