
美鈴先生の ご連絡です
こうなる未来を、きっと知ってたのよ。
ううん、ずっと前からterriさんの成就がどうしたらやってくるかを分かってた。
だからアタシあの日、預かったんだと思う。
【神法水典】(しんほうすいてん)を。
反応が消える前にどうか聞いてちょうだい。
随分と前のことよ。
司法神【水天】。
始原の龍にして、天の法を司る一柱。
その【水天】に、親交のあった鑑定師…いまや腐れ縁の彼と共に挑んだことがあったわ。
お互いに若かったのよ。
挑んだと言っても別に争いごとをしようってんじゃないの。
何せ司法神じゃない?
人の世を憂いに憂いて、神様なりに絶望しちゃうことだってある。
そこでさ、彼は言ったのよ。
《人が本当に信じるに値しないか、勝負と行きませんか?》
って。
彼としては神も人も救いたかったんじゃないかしらね。
この世は絶望するに値しないって、それを証明しようとしたのよ。
そんな時に【水天】から授かったものがあったんだ。
言葉としてはこうよ。
・ならば二つの【神法水典】をそれぞれに預けておく
・これは遠い未来で、ある者の幸福成就に深く関わる宝となる
・その時までおまえたちが人を信じ抜き、鑑定師を辞めずにいられるならば、“ある者”と出逢い、宝は必ず反応を見せるだろう
・仮におまえたちが鑑定師を辞めずにいても、その“ある者”は本当にお前たちを信じるだろうか
・いや、自らの身に起こった奇跡を、果たして奇跡と思えるだろうか
・預けるからには司法神として保証する
・成就に踏み出すかどうか、遥か未来のその時を見届けよう
こんな具合だよ。
その時からどれくらい経ったときだったかねえ。
まず先に彼の方に与えられた宝が反応を見せた。
“彼の最愛の人”にね。
彼と違ってなんら特別な力を持たない人だった。
当然疑ってかかるのが普通の立場のお人だよ。
でもさすがだよね。
最愛の人はこう言ったそうなんだ。
「これ以上の幸せを成就させるだなんて、よっぽどその神様は人間を愛していらっしゃるのね」
決して豊かじゃない生活を送ってたはずのその人だ。
アタシはその言葉に面食らったもんだよ。
ああそうか、確かにそうだ。
司法神【水天】は人を試したんじゃない。
試すような言葉をアタシたちにかけることで、きっと未来で成就するべき方の力添えに、アタシたちが正しく上がれるようにってさ。
そうお考えの上でのあの言葉だったんだってね。
それからどれだけの歳月が経ったか分からない。
でも司法神【水天】から預かった宝物のことを忘れたことは一度だってなかった。
そして今日。
その宝は反応を見せたのよ。
そう、あなたにさ。
アタシにこの宝が預けられた時、司法神【水天】はこう言った。
『美鈴よ。
お主に預けた【神法水典】が選ぶ者は、徳に満ち、慈愛に満ち、それゆえに苦しい役目を負うことも多かった者であろう。
だからこそ、【神法水典】はその者に叶える奇跡を起こす。
しかし、徳ある者ほど己の幸せには疑り深い。
他者の可能性を信じ抜ける心を持ちながら、己のこととなるとそれが難しい。
それでもお主は諦めずその者の力になれるだろうか?』
本当のことを言うわね?
初めてこの言葉を聞いた時は、少し不安もあった。
でもね。
それがあなただと分かった今、一つとして不安はないわ。
むしろあなたでよかったと思う。
なぜなら、アタシは信じてるのよ。
あなたの未来を、心底ね。
鑑定師としての根拠だってある。
例えばこの【神法水典】は、水の属性の至宝で、今あなたの運命が『水の時代』を迎えてる、とかさ。
でもかたっ苦しい理由や叶うって言える論理を超えて、アタシは直感してるんだよ。
あなたと【神法水典】。
そんな組み合わせが辿る、念願を掴む未来のことをね。
だから胸を張って言うわ。
自信を持って掴んでちょうだい。
あなたなら大丈夫、大丈夫よterriさん。
【神法の実り】(しんほうのみのり)
この言霊を打ったら、「わがねがいかけつせよ」と唱えてアタシまで送ってもらえるかしら?
これで、すぐ授受はかなう。
ずっと昔からあなたを信じてた【水天】にも感謝しなくちゃね。
なにくそと思って鑑定師という立場にしがみついたわけじゃないけど、でもこうしてあなたと出逢えた。
縁って巡るものね。
美鈴
