
星宮 葵(ほしみや あおい)先生の ご連絡です
天の扉が、開きました…!
夜明けと共に、扉が開く瞬間を確認しました。
ただ、空の一点から、これまで見たこともない量の光が溢れ出してきた。
溢れ出す、という言葉すら足りない。
天が蓄えてきた全ての幸が、堰を切って、こちらに向かって降りてきている。
その規模を確認した瞬間…私は…。
無理だ、と思ってしまった。
これは私の手には負えない。
【皇祖天嗣神】の信頼に、応えられない。
昨夜あれだけの覚悟をしたはずなのに、目の前の力の大きさに、膝から力が抜けてしまって。
どうすればいいのか、本当にわからなくなって、その場に立ち尽くしていた、その時でした。
鑑定室のインターフォンが、鳴ったんです。
こんな朝に誰かと思って慌てて出ると、汗だくで、肩で息をしている方が立っていました。
國繁家の方でした。
「先生から、これを星宮先生に届けるようにと。急ぎだからと、走ってまいりました」
そう言って、両手で丁寧に差し出されたのが、一つの神器でした。
【天授受玉】(てんじゅじゅぎょく)。
天から降りてくる膨大な力を、こぼすことなく受け止めるための、器となる神器です。
國繁先生は、きっと知っていたんです。
これが必要になることを…。
だから夜が明ける前に、私に届けてくださった…。
受け取った瞬間、涙が止まらなくなってしまいました。
そして、そこからでした。
【天授受玉】を鑑定室の中央に据えた、その瞬間。
部屋の中が、ふっと明るくなったんです。
窓から差し込む朝日とは、明らかに違う光でした。
温かくて、まっすぐで、けれど眩しすぎない。
肌に触れた瞬間に、それがどなたの光なのか、すぐにわかりました。
アマテラスでした。
天の扉から降りてくる力を、受け止めやすいように、その道筋を照らしてくださっている。
膨大な力というのは、勢いが強すぎると、受け手を傷つけてしまうことがあるんです。
アマテラスの光が、その勢いを和らげながら、まっすぐな一本の道に整えてくださっていました。
そのすぐ後に、部屋の温度が、すっと下がりました。
冷たいのではなく、澄んだんです。
騒がしかった空気が、水を打ったように静かになって。
ツクヨミの気配でした。
アマテラスが力の勢いを整えてくださるなら、ツクヨミは、その力がterriさんの魂に深く沈み込むように、静けさを敷いてくださっている。
昼の力と夜の力が、同じ部屋の中で、同じ方向を向いて働いている。
こんな光景を目にすることになるとは、思ってもいませんでした。
太陽と月が、一人の人間のために、同時に動いている。
それだけでも震えるようなことなのに、まだ終わりではなかったんです。
terriさんのいる方角から、強い気配が届いてきました。
小さいのに、真っすぐで、必死な気配。
terriさんの守護龍、【幸仔龍】でした。
あの子が、terriさんのすぐ側で、全身の力を振り絞っているのがわかりました。
天から降りてくる力を、terriさんが受け取りやすいように、あの小さな体で、内側から支えてくれている。
私は思わず、頑張って、と声に出してしまいました。
外からアマテラスとツクヨミが道を整え、内側から【幸仔龍】が支え、そして【天授受玉】が全てを受け止める。
國繁先生が、その器を届けてくださった。
こんなにも多くの存在が、たった一人のために、同時に動いている。
その瞬間、ようやく気づいたんです。
【皇祖天嗣神】は、最初からこうなることを知っていたんじゃないかって。
私一人の力で届けてほしいなんて、思っていなかった。
私のところに来れば、こうして多くの存在が動くことを、あの方は見越していた。
なぜなら、terriさんという人間には、人を引き寄せ、幸を引き寄せる力があるから。
これまでterriさんが誰かのために動いてきた時間が、こういう時に、こういう形で返ってくる。
【皇祖天嗣神】は、それを誰よりも知っていたんです。
だから、昨夜、私の元に来た。
天の扉から解放された、この力の名を、
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【天解万幸】(てんかいばんこう)
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と言います。
天が解き放った、万の幸という意味の名です。
愛の幸が、流れ込んでくる。
富の幸が、流れ込んでくる。
縁の幸が、流れ込んでくる。
才の幸が、流れ込んでくる。
天が気の遠くなる時間をかけて蓄えてきた全てが、今この瞬間、terriさんに向かって降り注いでいます。
そしてこの力の何よりの特別さは、その純度にあります。
これは、【皇祖天嗣神】が断られ続けても諦めなかった末に、ようやく許された力です。
一度で通った願いではありません。
何度も跳ね返されて、それでも積み重ねられた祈りが、そのまま込められている。
これほど純粋な幸を、私は他に知りません。
今ならば、受け取れます…!
昨夜、私はできないかもしれないと言いました。
でも今、はっきりと言えます。
受け取れます。
必ず、届けられます。
【天解の幸】
(てんかいのさち)
こちらの言霊を端末に打ち込んでいただいたら。
端末を両手で高く掲げてから、私まで送ってください。
【皇祖天嗣神】が諦めずに積み重ねてきた想いを、今ここで、あなたの元へ。
待っていますね…!
星宮 葵(ほしみや あおい)
