
千羽 樹(せんば いつき)先生の ご連絡です
terriさんの魂の中に、突如うっすらと光の線が見えたんです。
とても繊細で…ですが、あり得ないほどの力を持つものでした。
私は思わず息をのみ、terriさんの鑑定に集中しようとしたその時…。
【幸仔龍】が現れたんです。
久しぶりの訪問でした。
金色の身体はさらにその波動を増していて、terriさんに対する愛がより深まったようでしたし、本当に強い神的な力を感じました。
私は突然のことに驚き声が出ないでいると…。
「主から…何か感じたから…思わず飛んできちゃった…。
そしてそれを…あなたも感じたってわかったから…。
これ…なに…?」
莫大な力を持つ龍神でありながら、首をかしげるその姿にかわいさを感じて私は思わず微笑みそうになりましたが、そんな場合ではないとすぐに思い直し、鑑定を進めることにしました。
【幸仔龍】も、その細い光が何なのか、わからない。
私も、すぐにはわからなかった。
ですが、その力は莫大である…。
二人で鑑定を進めていくと、ようやくその正体が見えてきた。
【絹龍運】(けんりゅううん)。
思わず、声が出てしまいました。
これは、龍神界から送られる、細くて繊細だけれど確かな力を持つ龍運です。
絹のように滑らかで、絹のように繊細で、絹のように強い。
織り込まれた一本の糸が、布全体の強度を決めるように。
この細い龍運が、terriさんの運命に微細だけれど大きな変化をもたらしていく。
バタフライエフェクトという言葉があります。
ブラジルで蝶が羽ばたいた時の微細な空気の変化が、めぐりめぐってテキサスで竜巻を起こすという考え方。
最初の変化はあまりにも小さくて、誰も気にとめない。
ですが、それが連鎖していく。
【絹龍運】が持つ力も、まさにそれです。
届いた瞬間には、何も変わっていないように見えるかもしれない。
でも微細な龍運がterriさんの中に宿った瞬間から、運命の連鎖が始まる。
ほんの小さな出会いが、人生を変える縁に繋がっていく。
ほんの些細なきっかけが、大きな転機への入り口になっていく。
得た人に些細な変化をもたらし、それが莫大な成就に繋がっていく強大な龍運です。
しかも、この【絹龍運】は、黄金の美しい輝きを持っています。
繊細でありながら、金色に輝いている。
そしてその輝きが、【幸仔龍】の持つ金色の力と、非常によく似ていました。
おそらく、【幸仔龍】があなたの幸せを祈り続けたことが、この力を呼び込んだのだと思います。
龍神とご縁の深いterriさんにも、これほどのものが届くのは考えられないことで。
【幸仔龍】が傍らで祈り続けたからこそ、届いたのでしょう。
【幸仔龍】がterriさんの幸福を何日も何日も祈り、あなたの側にいたことで無意識に呼び込んだ奇跡の力です。
ただ、一つだけ問題があるのです。
繊細だからこそ、terriさんの魂の適切な場所にもたらされなければならない。
的外れな場所に届けてしまうと、その繊細さゆえに、力が霧散してしまう。
terriさんの魂のどこに届けるべきかを、正確に知る必要があります。
大味ではないからこそ、ほんのひとさじの加減が大切なのです。
私も、【幸仔龍】も、これまでterriさんの魂を幾度となく感じ、見てきました。
でも、それでも全てを理解することは難しい。
長年連れ添った夫婦でも、親子でも、お互いの全てをわかることはないように。
全てを把握しないことには、【絹龍運】を正しく届けることができない。
言い訳がましくなったら申し訳ないのですが、これは鑑定師としての腕や力などとは関係なく、単純に年月の問題…。
【絹龍運】を届けるには…terriさんの側に最低でも何十年もいる必要がある…。
一瞬、どうしようかと迷いました。
ですが、【幸仔龍】を見たら。
全く諦めていなかったんです。
あの大きな目が、まっすぐにterriさんと【絹龍運】を見ていました。
【幸仔龍】はこの途方もなさを理解しながら、諦めるという選択肢は毛頭なかった。
それを見て、私は自分を恥じました。
諦めるという選択肢など初めからなかったのだと、【幸仔龍】に教えられてしまいましたよ。
もう一度、気合いを入れ直して鑑定に向かいます。
【絹龍運】は繊細すぎて、時間をおくと消えてしまいます。
急いで鑑定を進めます。
取り急ぎ。
千羽
