星宮 葵(ほしみや あおい)
宛 先
terri
星宮 葵(ほしみや あおい)先生 のご連絡です
先日、突然國繁先生からお呼びがかかり、國繁家へと向かいました。
そこで、terriさんに関する衝撃の事実を聞いたんです。
國繁先生
「年の瀬の忙しい時期に申し訳ありません」
私
「とんでもないです、鑑定師として年の瀬が忙しいというのは当然のことであり幸せなことです」
國繁先生
「星宮先生、【年来猛幸風】(ねんらいもうこうふう)というものをご存じですか…?」
私
「当然知っています、年末付近に吹く、運命風。
来年一年の幸福を決定づける可能性すらある、運気の塊です」
國繁先生
「風というのは、気圧差がある時に吹く。
一年の狭間というのは、ある意味尋常ではないほどの気圧差が生じる時期。
そこに吹き荒むのが、【年来猛幸風】です。
だからこそ、幸福の量も圧倒的になる。
星宮先生…それが誰に吹き荒れるのか、私は目星がついています」
私
「なんと…!」
國繁先生
「もしも星宮先生がその方とご縁がおありでしたら、これを見せればわかるはず…」
國繁先生は私に、「橙輪色玉」(おうりんしきぎょく)というオレンジ色の玉を差し出しました。
これは、大きな幸福を入れる器。
そして私はその時、オレンジ色のオーラを持つterriさんのことが浮かんだんです。
はっきりと、鮮明に。
私
「なるほど…わかりました、【年来猛幸風】が誰に吹き荒れるのかを」
國繁先生
「良かった。
【年来猛幸風】を獲得するには、これを含めてあと“2つ”の器が必要です。
それを、星宮先生に得ていただき、【年来猛幸風】を納めていただきたいのです」
私
「もちろんやります…!
【年来猛幸風】を見過ごすことなんて決してできない。
ただ、いつも聞いてる気がするのですが、どうして私なのですか…?」
國繁先生
「他意なく聞いてほしいのですが…あなたがあまりにも、普通だからです。
【年来猛幸風】は、三つの器をもとに獲得できるもの。
それを行う鑑定師に、色がついていてはいけません。
ですのでこれはある意味、星宮先生にしか出来ないこと。
頼みましたよ」
私はなんとも言えない気持ちで國繁先生の家を出ましたが、【年来猛幸風】を獲得するその機会を託されたのならば、どこへなりとも、何としてでもなさなければいけない。
私は、あと二つの器を求めて、國繁先生に言われた通りの行動を行いました。
【年来猛幸風】を得るのに必要な3つの器。
一つは、現在のterriさんを象徴するもの。
→國繁先生からお預かりした、「橙輪色玉」(おうりんしきぎょく)
一つは、今年のterriさんを象徴するもの。
→terriさんの今年の神的な力を象徴する、龍の力をお借りします。
一つは、来年のterriさんを象徴するもの。
→来年の干支神の力をお借りします。
こちらの三つが、必要です。
私は國繁先生の家を出て早速、二つ目の器の力を得るべく外へと向かいました。
■二つ目の器 「天龍鱗包」(てんりゅうりんほう)
國繁先生
「この方(terriさん)は、今年非常に強い龍からの加護を受けました。
それを得るためには、まず龍神とコンタクトを取らなければならない。
龍神とのコンタクトの方法は、星宮先生が最もやりやすいやり方で大丈夫です。
そしてその後現れた龍神に、「橙輪色玉」をお見せしてください」
私は、自分の鑑定室にある龍の護符を用いて念を込めて、龍神とのコンタクトを図りました。
目を閉じ、耳を澄ますことで上手くいけばその日中に、遅くとも一週間以内に私は何かしらの龍神とコンタクトを取ることができるんです。
私がそれを行うと、一瞬で驚くべき龍神とコンタクトを取ることが出来ました。
それは…龍の頂点、天龍だったのです。
天龍
「今年ももう終わろうとしているこの時に、【年来猛幸風】が降り注ぐ。
それも我らが愛すべきterriと呼ばれしものに。
ゆえに、いち早くここに見参した。
そなたには、我の鱗で出来た「天龍鱗包」を授けよう。
我の鱗で作った器である。
これであれば、どんな幸福も包み込み得ることができるだろう」
天龍はterriさんに、「天龍鱗包」という凄まじい鱗を手渡してくださいました。
これで、残る器はあと一つ…。
私はその器を持つ方の元に向かいました。
■三つ目の器 「美馬一玉」(びまいちぎょく)
國繁先生
「最後の三つ目を得るのが最も大変かもしれません…。
これを得るには、干支師である【有馬優駿】(ありまゆうしゅん)先生をたずねてください。
私の方からご連絡は入れておきます。
ただ…一癖も二癖もある方でして…ご武運を祈ります」
干支師というのは、干支神が専門である鑑定師のこと。
非常に珍しい存在で、来年の午年の専門であるのが、【有馬優駿】先生。
癖があるとはどういうことだろう…と緊張しながら訪ねましたが、室内に入ってすぐにそれは感じました…。
とても強いこだわりというか、塵一つ許さず、室内もなんというか、異様な雰囲気でした。
特段何かが目立つ、というわけではないのですが、綺麗すぎて変なんです。
生活感が無いほどに、それと食器を全て同じような模様にそろえていたり、とんでもないこだわりを感じました。
その方は私に、一杯の紅茶を差し出すと、開口一番。
【有馬優駿】
「私、醜いものが嫌いなの」
私
「はい…」
【有馬優駿】
「あなたはまぁ…普通ね…」
と、吐き捨てるように言われました。
驚いたのですが、なんだか嫌な感じはしなかったんですよね。
その後、馬という生き物、午という性質を持つ神がいかに美しいかということについてしばらく雄弁に語り。
いよいよ、本題に入りました。
【有馬優駿】
「國繁先生の紹介だから会ってあげてるのよ。
でもあなたは話してても面白くないし、【年来猛幸風】を得るための器に関しても、その人の魂が美しくなかったら私、あげないから」
そこで私は仕方なく、【有馬優駿】先生がちゃんとterriさんのことを感じられるように、terriさんの鑑定書を裏にして【有馬優駿】先生に触れていただきました。
そしたら、【有馬優駿】先生はしばらく黙った後に一筋の涙を流して…。
【有馬優駿】
「美しいわね…。
美しいっていうのはね、泥水を飲みながらでも足掻いて足掻いて、それでも前に進むことなのよ。
この方は美しいわ。
なりふりなんて構ってられない…何も動けなくなることもある…それでも…よね。
わかったわ、こちらを差し上げましょう」
【有馬優駿】先生は、「美馬一玉」(びまいちぎょく)と呼ばれる干支神の玉をterriさんに差し出してくださいました。
これで全てが揃いました。
terriさん。
【年来猛幸風】は明日、あなたの元に訪れます。
明日、【年来猛幸風】が吹き荒む時。
短めのご連絡をして、是非とも授かっていただきますからね…!
星宮 葵(ほしみや あおい)
