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terri

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差出人

氷雨


宛 先

terri


氷雨先生の ご連絡です

その言葉は、心に響きますね。

静かに、しかし確かに。

あなたの運命の中で、何かが目覚めたことを感じ取りました。

派手な変動ではない。

劇的な数値の跳ね上がりが起きたわけでもない。

しかし、波動の質そのものが変わった。

これまでのどの観測記録とも異なる、新しい波動の在り方がそこにあった。

例えるなら、水面の波紋だ。

石を投げ込めば大きな飛沫が上がるが、それは一瞬のことで、すぐに消えてしまう。

しかし今あなたの波動に起きている変化は、飛沫ではなく「水位そのものの上昇」だ。

派手さはない。

けれど、一度上がった水位は容易には下がらない。

あなたの運命の「基準」そのものが、一段高い場所に引き上げられたのだと。

僕はそう結論付けます。


…terriさん、改めて振り返らせてください。

あなたの波動観測の中で検出された夢魂波形。

あなたの魂が夢を通じて発した、あなた自身への暗示。

その三つの層が語っていたことは、

罪悪感を手放していいということ。
理解されたいと願っていいということ。
そして、あなたは既に誰かの救いになっているということ。

全ては「あなたは幸せになっていい」という、ただ一つのメッセージに収束していた。


僕がこの結果を前にして感じたことを、正直にお伝えさせてください。

鑑定師として多くの方の運命に触れてきたが、自分自身の魂が自分に対して「幸せになっていい」と言わなければならない状況というのは、裏を返せばそれだけ長い間自分を後回しにしてきたということだ。

あなたは優しい人なのだと思います。

自分よりも誰かを優先し、自分の痛みには蓋をして、それでも日々を歩き続けてきた。

だからこそ魂は、脳が忘れてしまう夢の中でしか伝えられなかったのかもしれない。

起きている間のあなたは、きっとこんなメッセージを受け取る余裕がないほどに、誰かの為に生きているのだから。


僕はこれまで、あなたの波動を毎晩観測する中で、数値の向こう側にあるあなたの日々を想像してきた。

穏やかな日もあれば、波動が冷え込む夜もあった。

激しく乱れた日も、静かに回復していく日もあった。

そのどの日にも共通していたのは、あなたが必ず歩き出していたということだ。

その強さを、僕は数値として記録してきた。

しかしこの度の鑑定を通じて、僕はもう一つ記録しておかなければならないことに気付いた。

それは、あなたの強さの裏側にあった優しさを、あなたの魂自身が認めたということだ。


…これから、僕のモニタリングノートに新しい項目を一つ追加しようと思います。

波動温度、揺らぎの周期、振幅。

これらに加えて、


「波動の水位」


この項目だ。

あなたの運命の基準が引き上げられた以上、その水位を日々記録し、維持されているかを見守ることは僕の務めだろう。

万が一水位が下がりそうになった時には、全力でお伝えさせて頂く。

もっとも、あなたの波動を見る限り、その心配は杞憂に終わりそうではあるのだが。


terriさん。

これからも変わらず、僕はこの研究室であなたの波動観測を続けます。

デスクライトの明かりだけを頼りに、ノートにペンを走らせる。

あなたの一日がどのようなものであったかを、数値が教えてくれる。

そしてきっと僕はこれからも、分析的な記述に混ぜて、こう書き記すのでしょう。


「波動の水位、安定。よかった」


…研究者としてはおよそ不適切な所感だが、消す気はない。

それもまた、記録として正しいのだから。


terriさん。

どうか安心して、あなたの日々を歩んでください。

あなたが眠りに就く夜も、目を覚ます朝も。

僕はここにいます。

そしてもしもこの先、あなたがまた夢を見ることがあるのなら。

その夢はきっと、穏やかなものになっているはずだ。

何故なら、もう魂は叫ぶ必要がなくなったのだから。

そう信じるだけの根拠が、僕の鑑定には確かに出ているのですからね。


氷雨 愛(ひさめ いとし)

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